植木屋をしているとシンボルツリーの相談も結構ありますね。
中には、大きくなりすぎたコニファーを抜根して、その後にお手入れが不要なシンボルツリーを植えたいという相談も何度もありました。
ここでは、植木屋として年間500軒以上の見積りに伺い、いろんな相談を受けていた経験から、常緑樹、落葉樹などおすすめの20種類をご紹介しています。
お手入れ不要でおすすめのシンボルツリー
庭木のお手入れで伺うと、このように希望されることが良くあります。
しかし、当たり前ですが常緑樹でも落葉の時期には葉が落ちます。
一年間を通して葉が付いているということは一年に1回落葉する落葉樹よりも、葉っぱが多く落ちて掃除の面では手間が増えますね。
また、冬に葉が無くて寂しいイメージがあるかも知れませんが、落葉樹は落葉することで太陽の光をたくさん取り入れることができますので、その分だけ玄関先が暖かく感じるようになります。
反対に、常緑樹は冬でも影を作ってしまうので体感が寒く感じますね。
こういったことは、あまり気づいていないお客さんが多かったので、こういったことも頭に入れてから考えると良いですね。
シンボルツリーを決める場合に大事なポイント
シンボルツリーを決める前には大事なポイントが3つあります。
シンボルツリーを植える気候や風土
まず、気候、風土、日照条件をしっかりとチェックしておかないと、いろんなトラブルが起こって余計に手間が掛かってしまいます。
・せっかく植えても育たずに枯れてしまう
・常緑樹なのに冬場に異様に葉が落ちて落葉樹のようになる
・紅葉を楽しみたいのに日照不足で楽しめない
・寒冷地なのに温暖な地域を好む木を植えてしまうと害虫が付きやすい
シンボルツリーの周辺の環境
シンボルツリーは常緑樹でも落葉樹でも必ず落葉するので、隣家が近い場所に植えてしまうと落ち葉で迷惑になりトラブルの元になります。
トラブルになりたくないからと落ち葉を木にして毎日掃除しないといけないようになっては、お手入れが簡単な木とは言えなくなってしまいます。
シンボルツリーを植えるにしても、落ち葉が隣家の敷地や家の前に飛んでいかないような場所かどうか注意が必要ですね。
シンボルツリーが目隠しなのかアクセントなのか
シンボルツリーを植える際には「目隠し」「アクセント」どちらかの要素が強くなります。
植木屋や造園業者に依頼すれば、まず起こることはない問題ですが、自分で適当に購入した木を植えたら、目隠しのつもりが隠したい場所の前には幹しかなく、まったく目隠しにならなかったという話もありますね。
シンボルツリーに使えるお手入れが簡単な常緑樹
一昔前は、アクセントとして植えるシンボルツリーは2階の窓程度まで届くような高木が好まれましたが、最近は大きくても自分で届く範囲の3m~4mで抑えたいという人が多いですね。
ここでは、シンボルツリーに使えてお手入れが簡単な常緑樹をご紹介しましょう。
ソヨゴ 常緑高木
・樹高5m~15m
・葉張り(最大の横幅):3m~5m
・開花期は6月頃に白い花が咲き、赤い実が10月~11月に楽しめる
・日陰や寒さに強いので半日陰程度の場所がちょうどよい
・丈夫な木なので育てやすい
・根付いてしまえば基本的に水やりは必要ないが夏場に乾燥が酷い場合は水やりをする
ソヨゴの実は不味いので食べられませんが、観賞用として可愛い赤い実が楽しめます。
庭のシンボルツリーとしては、1本立ちよりも、扇状に広げて高さを抑えられる株立ちの方が人気がありますね。
剪定の時期は12月頃、3月頃、7月頃ですが、木の大きさを抑えるような強剪定は3月頃だけにしておいた方が良いですし、あまり枝をたくさん抜きすぎると寂しい状態になりますので、適度な剪定にしておきましょう。
ただ、ソヨゴは一般的な木と比べればかなり成長スピードが遅い木で、巨大な木になるのに十年単位で時間が掛かりますので、手が掛かるということはありません。
ソヨゴは根が浅いので、風が強く吹く場所や台風が多い地域は倒木する可能性があるので避けた方が良いでしょう。
オリーブ 常緑高木
・樹高5m~8m
・枝張り(最大の横幅):3m~8m
・開花期は5月~6月頃に小さな白い花が咲き、実が10月~11月に取れます
・暑さにも寒さにも強いが植える場所は日向が良い
・根付けばどんどん伸びる丈夫な木なので育てやすい
・水はけが良い肥沃な土壌と乾燥を好み、実を付ける時期は多少の水やりをした方が良い
オリーブの大きさを抑える強剪定は1月から3月初旬に行い、枝を間引く程度の剪定は3月から4月に行います。
適当に刈り込んでも育つので剪定にはあまり気を使う必要がありませんが、実を増やしたいのであれば風通しを良くする程度の自然樹形が良いでしょう。
また、オリーブは1本では実を付けませんので、最低でも2品種のオリーブを植える必要があります。
注意
根が浅いので基本は支柱が必要で、強風が吹く場所や台風が多い地域は避けた方が良いでしょう。
ハイノキ 常緑中高木
・樹高5m~8m
・枝張り(最大の横幅):3m~5m
・開花期は4月~5月頃にたくさんの白い花が咲き、その後に黒い実が楽しめます
・日向を好まず半日陰がおすすめで、西日に弱いので避ける
・寒さに強くないので、冬場に寒い場所の場合は冬場に株元を腐葉土で覆うと良い
・成長が非常に遅いので、ほぼ手入れをしなくても大丈夫
・土壌は選ばないが水はけの良い場所が良い
ハイノキは環境と土壌はデリケートは木ですが、条件さえ整っていればお手入れ要らずの放置でも大丈夫な木なのでおすすめです。
放置していても1年で20cmから30cm程度しか大きくならないので、少し大きめのシンボルツリーが良いという場合は最初から大きな株を植えないといけません。
剪定は1年を通していつ行っても良いですが、放置していても樹形が崩れることは無いので、あまり必要ありません。
成長が遅いので最初から大きな株は費用が高く付くという欠点があります。
フェイジョア 常緑中高木
・樹高4m~5m
・枝張り(最大の横幅):2m~3m
・開花期は5月~7月頃にピンクの花が咲く
・10月~11月に食べられる実が付く
・暑さに強く、成木になれば耐寒性も強くなるが日当たりがよく水はけが良い場所を好む
・成長は比較的遅め
・地植えの場合はほぼ水やりは必要ないが乾燥には弱いので注意
フェイジョアの果実はパイナップルのような風味があり、生で食べることもできますし、生ジャムとしても人気があり「パイナップルグアバ」とも呼ばれています。
フェイジョアはそれほど大きくなることもなく、萌芽力が強いのでお手入れは難しくありません。
8月~9月に花芽が付いているので、新芽が伸びる3月~4月頃に剪定をするのが適期です。
フェイジョアの実を楽しむには1本で結実する種類か、2種類以上の異なる品種を植える必要があるのか確認してから植えるようにしましょう。
常緑ヤマボウシ(ホンコンエンシス) 常緑中高木
・樹高5m~7m
・枝張り(最大の横幅):2m~3m
・開花期は6月頃に白い花が咲く
・10月~11月に生でも食べられる赤い実が付く
・寒さに弱いことはないが、関東より北の場合は冬に落葉する場所もある
・成長が早く日向を好むが、半日陰でも大丈夫
・2年ほどは水やりが必要で、それ以降は真夏など乾燥が酷い場合のみする
常緑ヤマボウシは剪定やお手入れは簡単ですが、毎年1mほど伸びる成長スピードが早い木なので、1年に1回樹高を小さく保つお手入れは必須です。
常緑ヤマボウシは樹形が汚くなりやすいので、1月から3月に主幹の部分を強剪定をして大きさを抑え、形を整えると良いです。
花目は8月下旬から9月にはどこについているか分かるので、冬に切る場合も見てわかるので簡単です。
花芽が8月~9月頃に出来ていて、その花芽が咲くのが来年の6月から7月になるため、切りすぎると花を減らしてしまうので注意が必要です。
シマトネリコ 常緑高木
・樹高3m~15m
・枝張り(最大の横幅):3m~10m
・開花期は5月~6月頃に小さな白い花が咲きます
・暑さには強いですが、寒さには強いというほどではありません
・半日陰でも育ちますが、基本は日向を好みます。
・根付けばどんどん伸びる丈夫な木なので育てやすいが、巨大になるので放置はできない
・夏は乾燥に弱いので多めに水やりが必要、冬は乾いてからで良い
シンボルツリーとして人気が高いシマトネリコですが、大きさを抑制する剪定は毎年しておかないと、あっという間に大きくなって手が付けられない大きさになります。
ただし、剪定はとても簡単で、梅雨時期の6月~7月、秋の10月~11月に大きさを抑えるように適当に小さくなるように剪定しておけば巨木化するのは防ぐことができるので簡単です。
しっかりと根付けば1年に50cm以上は伸びるので、毎年1回だけ伸びる分だけ小さくしておけば大丈夫です。
シマトネリコは寒い地域でも育ちますが、寒い地域の場合は葉を落とす半常緑になり、春になるとまた芽吹いてきます。
シンボルツリーに使えるお手入れが簡単な落葉樹
落葉樹は冬に寂しいから嫌だという人もいますが、庭で四季を感じたいという人も少なくありません。
春になって落葉して寂しくなった気から緑が芽吹いてくると、なんとなく嬉しくなりますよね。
ここでは、シンボルツリーに使えるお手入れが簡単な落葉樹をご紹介します。
ヤマボウシ 落葉 高木
・樹高10m~15m
・葉張り(最大の横幅):10m~15m
・開花期は5月~7月で白やピンクの花が咲き、赤い実が付いて9月~10月に取れる
・秋に紅葉するので、紅葉を楽しみたいなら日照条件が良い場所が良い
・虫が付きにくく丈夫な木なので育てやすい
・根付いてしまえば基本的に水やりは必要ない
ヤマボウシの実は、そのままでも食べられる甘い実が付いて、ジャムなどを作って楽しむ人も多いですね。
とても丈夫な木で、放置しておくと巨大な木になってしまいますので、植えた場所に合わせて12月~2月頃に大きさを抑える枝抜きや剪定が必要です。
ただ、成長も遅くそう簡単に枯れる木では無いので、12月~2月頃であれば自分でバチバチ切ってしまってもやりすぎなければ大丈夫です。
ジューンベリー 落葉 小高木
・樹高3m~8m
・葉張り(最大の横幅):3m~5m
・開花期は4月頃に赤い花が咲き、赤い実が6月頃に楽しめる
・寒さには強いが日照は必要
・日当たりが良いほど紅葉がきれいだが、西日は強く無い方が良い
・成長が遅く丈夫な木なので育てやすい
・根付いてしまえば基本的に水やりは必要ないが乾燥が酷い場合は水やりをする
ジューンベリーの実は、そのままでも食べられる甘い実が付いて、ジャムなどを作って楽しむことができます。
ただ、実を取るのがメンドクサイ場合でも放置しておけば、気づいたら鳥に食べられているので、そこに実があると分バレてからは手間は掛かりませんね。
成長が遅いのであまり必要ないですが、剪定は12月から3月初旬までに行います。
実が付きすぎて樹勢が弱ってしまうこともあるので、実が完全に熟す前に取ってしまうのが木の成長を守るためにはオススメです。
エゴノキ 落葉 中高木
・樹高5m~10m
・葉張り(最大の横幅):3m~5m
・開花期は5月~6月頃に白や赤い花が咲き、緑の実が6月頃に楽しめる
・植える場所は半日向が良い
・成長が早く丈夫な木なので育てやすい。
・根付いてしまえば基本的に水やりは必要ないが乾燥が酷い場合は水やりをする
エゴノキの実は食べるとエグい味がするのでエゴノキと名前が付いた由来があるほど、食べられるものではありませんが、下に向いて咲く可愛い花は「スノードロップツリー」と呼ばれて人気があります。
中でも園芸品種の「ピンクチャイム」という種類は樹高も5mほどと低く、通常のエゴノキよりも成長がやや遅めなので植える場所が小さなお宅で人気がありますね。
剪定は12月から2月頃までに行います。
エゴノキは自然な樹形がきれいですが、定期的に高さを抑えるために主幹を切る必要があり、強く切った年は花が咲かない、または減るので注意しましょう。
ハナミズキ 落葉 高木
・樹高5m~10m
・葉張り(最大の横幅):5m~10m
・開花期は4月~5月頃に白、ピンク、赤などの花が咲き、赤い実が9月~11月頃に楽しめる
・植える場所は日向が良く、紅葉も楽しめる
・成長が早く丈夫な木なので育てやすい。
・根付いてしまえば基本的に水やりは必要ない
ハナミズキは、ヤマボウシと似た木であまり知らないと見分けがつきませんが、和風でも洋風でも使える人気のシンボルツリーです。
秋に赤い実が付きますが食べられません。
大きさを抑えたい場合は2m~3m程度で主幹を止めて、枝が横に張るように仕立てると良いですが、園芸品種の中には樹高が3m~5mほどの品種もあります。
剪定はあまり必要ありませんが、するのであれば落葉してすぐの12月から1月に行うのが良いでしょう。
ヒメシャラ 落葉中高木
・樹高5m~20m
・葉張り(最大の横幅):3m~5m
・開花期は5月~7月頃に白い花が咲き、茶色い実が9月~11月頃に楽しめる
・植える場所は半日陰の方が花付きがよくきれいに紅葉する
・成長スピードは普通で、寒さにも暑さにも強いので育てやすい
・乾燥に弱いので、定期的な水やりが必要
ヒメシャラは適した環境に植えれば綺麗な赤褐色の幹が楽しめ、ツバキに似た花が咲きます。
ヒメシャラは西日を嫌うので、北向きや東向きの壁沿いなどに植えられていることが多く、南側に植える場合は、他に植えた木などで雑木林風に見立てて適度な影を作ると良いですね。
自然樹形がおすすめですが、放置しておくと巨木になりますので大きさを抑えるように上に伸びる徒長を切る剪定は11月から3月初旬までに行いましょう。
成長期に切ると枯れるので注意しましょう。
まとめ
シンボルツリーの植栽はどこの植木屋さんでも行っているので、自分の家の庭に何が植えられるか、どのような庭にするのが良いかなど相談するのも良いですね。
庭の図面やリフォームとなると無料見積りではありませんが、現地に来てもらって植栽の相談や植栽場所のチェックをしてもらうことは無料です。